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肥料の基礎知識

我が国は高温多湿な気象条件にあります。そのため農作物には病害虫が多く発生します。農作物を栽培するにあたって、病害虫の防除は必要不可欠で、とても重要なポイントといえます。
農薬はそのために使用されるのですが、農薬に対してあまりいいイメージを抱いてない方も少なからずおられるかも知れません。しかし、人間が病気に対して医薬品が必要なように、農作物もまたそうなのです。安易な考えのもとでの過剰な使用は問題視されるべきです。しかし、農薬以外の防除法も視野に入れ、よく検討し、最低限農薬を使用することは必要なのです。

肥料の三要素とは??

作物を育てるとき、肥料を与えます。
それでは、肥料には主にどんな成分が含まれていて、どんな目的で与えるのでしょうか?
肥料のもっとも主要な成分は「肥料の三要素(窒素、リン、カリウム)」と呼ばれるものです。
この3要素を適切な時期に適量与えることが、農産物をつくるときのもっとも大きなポイントともいえます。

窒素(N)

窒素は作物にとってもっとも重要な成分で、作物の体をつくるタンパク質の重要な構成成分です。
窒素が不足すると、作物は生育不良となり、葉は淡緑色になって元気がなくなります。しかし逆に窒素が過剰になると、作物は水分含量が高くなり、軟弱になります。その結果、干ばつ、低温、病害虫などに対する抵抗性が弱まってしまいます。農産物の品質も低下します。
作物に肥料を与えるとき、窒素の量を適正に調節することは、いい農産物をつくるにあたっての重要なポイントです。

リン(P)

通常「リン酸」と示されることが多いです。
リンは、植物の細胞核や分裂組織、酵素などの構成要素で、エネルギー代謝にも重要な要素です。
リンは、特に作物の幼植物時の根の発達を促進します。リンが作物の生育初期に欠乏すると、根の発達が停滞してしまい、これを回復するのはとても困難です。
よって、リンは特に作物の生育初期に重要な成分といえます。
また、品質のいい農産物を生産するのに重要視されています。
日本の土壌は広く一般に、リンの肥効が低いという弱点を持っています(日本は火山国で、火山灰の影響があるからです)。そういう面でも、肥料として、リンは重要な要素といえます。

カリウム(K)

通常「カリ」とも示されます。
カリウムは、植物体内のさまざまな代謝(光合成など)の制御をするといわれています。
また特に果樹では、果実に非常に多く含まれる成分です。
よって、果樹栽培ではとくに大切な成分で、カリ肥料のことを"実肥"と呼んだりします。
カリウムはしばしば土壌中に過剰に存在していることもあるので、それに応じて、
肥料として与えるときは量を加減する必要があります。

たい肥に(堆肥)について

たい肥とは

「土が肥えている」とは、いったいどういう状態を言うのでしょうか?
一般に「良い土」といわれるものは、保肥性(肥料を保持する力)、保水性(水を保持する力)、通気性(通気の良さ)に優れているものをいい、これらを兼ね備えた土では作物もよく育ちます。
これらの性質は土そのものにもよりますが、たい肥を施すことにより改善されていきます。
たい肥とは、牛ふんや鶏ふんをはじめとする有機物で、これらが完全に発酵したものを「完熟たい肥」といいます。「完熟たい肥」は「肥えた土」をつくるのに有効ですが、未熟なたい肥は発酵するときのガスなどで植物の根を傷めたりするので注意が必要です。
土壌中の有機物は時間とともに分解され減少していくので、「肥えた土」をつくり維持していくためには、毎年十分にたい肥を施す必要があります。
このようにたい肥は、作物の直接の栄養素となるのではなく、作物が生育する土の状態をよりよくするために重要です(たい肥にも若干の肥料成分は含まれています)。
たい肥を十分に施さない土壌では、どんなに肥料を与えても、作物は良好な生育ができません。
そればかりか「肥あたり」という、肥料が作物の根を傷めることも起こります。

中量要素について

カルシウム(Ca)

カルシウムは通常石灰(CaO)として示されます。
石灰を与えるのには、2つの目的があります。1つは植物の栄養素として、そしてもう一つは土壌酸性度(pH)を矯正するための土壌改良材としてです。
作物にはそれぞれ生育に適した土壌のpHがあります。日本の土壌は、多雨などの要因で基本的に酸性土壌が多く、作物の生育に適した土壌pHよりも酸性になる傾向があります。土壌pHが適切でないと、作物が根から栄養素を吸収する際の大きな妨げになります。そこで、土壌の酸性を矯正するために石灰が広く用いられています。

マグネシウム(Mg)

マグネシウムは苦土(MgO)と示されることもあります。
植物の光合成は葉の葉緑体で行われていますが、葉緑素の重要な要素がマグネシウムです。
よって、マグネシウムは植物の葉に相当多量に含まれています。
植物が順調に光合成をおこなうためにマグネシウムが必要で、もしマグネシウムが欠乏するときは、植物の葉は黄色くなります(黄化症、クロロシス)。

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